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​耳掃除

耳垢は、ある程度あるほうが良いです。耳垢は、酸性で外から入ってくる菌をやっつける役目がありますので、綿棒等でピカピカにしないでください。綿棒を使うと、知らず知らずのうちに、耳垢を鼓膜近くまで押し込んでしまうことがあります。鼓膜近くの耳垢除去はとても痛いので、鼓膜が見えない、聞こえが悪い、カサカサ音がするような場合は、お近くの耳鼻科で耳掃除してください。「耳掃除で病院?」と思われる方も多いと思いますが、耳掃除(耳垢除去)は立派な医療行為ですので遠慮せず受診しましょう。

耳垢とは

耳垢は、耳の入り口周辺にある耳垢腺や皮脂腺から出る分泌物や、外耳道からはがれ落ちた皮膚によってできたものです。「垢」というと不要物のようなイメージもありますが、耳を保護する重要な働きを担っています。耳垢として出る分泌物には抗菌作用のある物質が含まれており、細菌の繁殖を抑える、外から細菌が耳の中に入ってくるのを防ぐ働きがあります。 

​耳垢の種類

乾性耳垢

​かさかさした耳垢で、日本人はこちらの耳垢が多いです。

湿性耳垢

​水分や脂分が多く、べとべとした耳垢です。世界的にはこちらの耳垢が多いようです。

外耳道の自浄作用

外耳道には耳垢がたまらない様な仕組みがあります。これを外耳道の自浄作用といいます。鼓膜から外耳道の外側へ向かって皮膚が移動していく「migrationマイグレーション」という現象があり、外耳道の皮膚は表皮が奥から外へ剥がれ落ちることなくベルトコンベアー式に順に移動します。このような表皮の動きをするのは体の皮膚では外耳道だけです。その移動距離は1日に0.1mmといわれております。外耳道の長さは2.5-3 cm(外1/3~1/2;外耳道軟骨部、内1/2~2/3;外耳道骨部)です。外耳道狭部(軟骨部と骨部の境界)まで来ると、ここには耳垢腺や耳毛がありさらに移動しやすくなります。ここで一部表皮が剥がれ落ち、耳垢となって外へと移動します。また、外耳道狭部の下前方には顎関節があり、顎を大きく開けると外耳道内から顎関節が動くのが確認できます。つまり話をしたり噛んだりして顎関節を動かすと、耳垢や異物を外側に動かす作用が加わります。結果として3か月もすれば鼓膜についていた物や耳垢も自然と外まで出てくることになります。このマイグレーションを中心とした耳の自浄作用がうまく機能しておれば、耳掃除は医学的にはしなくてよい行為なのです。
みみの中の絵です。耳掃除は、基本不要ですが、耳の入口に大きい耳垢がある場合は優しく取ってください。

​耳垢塞栓による症状

耳の中で耳垢が固まってしまい、穴が塞がってしまった状態を「耳垢栓塞」といいます。小さなお子様は外耳道が狭く代謝が活発なため、耳垢がたまりやすいです。
  • 聞こえが悪い
  • 耳の閉そく感(詰まった感じ)
  • カサカサ音がする
  • 耳鳴り
  • 耳の痛み
  • 耳のかゆみなど

​家での耳掃除の仕方​

耳垢を気にし過ぎて頻繁に耳掃除をしたり、不適切な方法でのケアは大変危険です。綿棒などを奥まで入れすぎたり、いじりすぎて外耳道の皮膚を傷つけてしまうと、慢性炎症やかゆみを誘発します。かえって耳垢が増え、誤って耳垢を奥に押し込んでしまうと耳垢栓塞の原因となります。鼓膜が傷つくなどの事故につながりかねませんので、注意しましょう。
  • 耳掃除は多くても月に1回程度にしましょう。

  • 耳の穴から1cm程度の深さまでの耳垢を外に掃き出すようにしましょう。それより奥の耳垢は耳鼻科に受診し除去しましょう。無理に奥の耳垢を取ろうとすると、鼓膜の方に耳垢を押し込んでしまい、耳鼻科で除去したとしても痛みが生じることが多々あります。

  • お子様が嫌がってしまう場合には、無理に耳そうじをしないでください。外耳や鼓膜を傷つけてしまうおそれがあります。耳鼻科で耳そうじをしてもらいましょう。

病院での耳掃除の仕方

  • 顕微鏡を使用し、肉眼での操作では取りづらい鼓膜付近の最深部の耳あかなどを丁寧に取り除きます。
     
  • 顕微鏡を使用することにより外耳道などを傷つける確率が格段に減少します。
     
  • また、赤ちゃんなど通常の方法ではなかなか耳そうじ出来ない小さな子供さんの耳あかも取ることが可能となります。
     
     
  • 耳垢が鼓膜にこびりついたときなど、除去する際に痛みを伴う場合は、耳垢水で耳垢を柔らかくしてから、吸引で除去します。
    ただ、耳垢を柔らかくするには、1週間程度、自宅で耳垢水を点耳しなければなりません。

耳鼻科にて耳掃除する場合は、顕微鏡を用い耳垢を取ります。頭が動くと大変危険なので、お子さんは体を固定して耳掃除します。
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